1997(平成9)年12月に、日本初の「転倒予防教室」を旧東京厚生年金病院(現・JCHO東京新宿メディカルセンター)健康管理センターに創設してから、多くの転倒予防に関する書籍を出版してきました。最初に手掛けた『転倒予防教室 ―転倒予防への医学的対応』(日本医事新報社、1999年刊/当研究所HPコラム『著作を語る』♯38)などの医療従事者向けの医学専門書や『武藤教授の転ばぬ教室 ―寝たきりにならないために―』(暮しの手帖社、2001年刊/当研究所HPコラム『著作を語る』♯44)などの一般啓発書など、20冊を超えます。それだけ現代社会に求められている大きな、かつ広く深いテーマなのだと思います。

 今般、(株)幻冬舎(見城 徹代表取締役社長)から、『転倒予防の名医が教える長生き足体操』(武藤芳照著、A5判、96ページ)を上梓しました。

 幻冬舎は、専門書を扱う出版社とは違い、多くのベストセラーを世に出している実力派の出版社(1993年設立、東京都新宿区)で、今回ご縁ができたのは、旧知の(株)ネットワークの豊田利男代表取締役の仲介・調整によるものです。
 筆者の連載、『夕刊フジ』での連載コラム『Dr.ムトー「転ばぬ教室」』20本(2022年6月~8月)を基盤にし、企画提示から発刊に至るまでの一連の制作作業が約1年という短期間で円滑に進み完成。今後は、「転倒予防教室」の全国展開を図ることが計画されています。
 つまり、書籍の発刊を組み入れた一連の新たな転倒予防事業の計画がすでに練られており、その単行本は成果物の一つという位置づけだったのです。誠に見事な企画・制作の構想と体制でした。

 本書は、下記のような3部構成です。

・老化は足からやってくる
・歩き方で寿命はのびる!
・1日3分の長寿健脚体操
・〈コラム5本〉

 高齢者にも読みやすいようにと、文字を大きくして本文は黒とピンクの二色刷り、さらには余裕をもたせた紙面構成を心掛けています。また、親しみやすい女性のイラストで動きや体操がわかりやすい大きさにしていますので、市町村・区などの「健康教室」や「介護予防教室」「転倒予防教室」の運動教本としても活用していただけるものと期待しています。

 ただし、単なる「体操教本」ではなく、転倒予防に関わる医学的解説を随所に組み入れ、転倒予防の合言葉「ぬ・か・づけ」「バリア<ア>リー」などの標語も配置して、健脚づくり、ひいては元気で長生きに結びつくようにと工夫してまとめています。

 「おわりに」の後には、〈取材・文〉:砂田明子、〈デザイン〉:I’ll Products(丸岡葉月、坂上恵子)、〈イラスト〉:内田弘隆、もりたりえ、〈イラスト・写真素材〉:iStock.com./ Iryna‗L、Inna kharlamova / serikbaib / Vitality73 、〈特別協力〉東京リハビリテーション総合研究所(芦田由可里、山本久子、小川 誠、棟石理実)、(株)ネットワーク / 豊田利男、浅間雪枝の名が、映画のエンデイングロールのように明記されています。
 本作りは、「みんなの気持ちを一つにして」行う協働作業であることを、改めて教えてくれた書籍となりました。

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