<武藤所長 著作を語る>

第44作『武藤教授の転ばぬ教室』 暮しの手帖社2001年


・著者:武藤芳照
・発行:暮しの手帖社
・発行:2001年
・サイズ:A5判192頁
・ISBN:978-4-7660-0070-

 

 

 

 東京大学教授として最も脂の乗っていた時代の著作。1997年に日本初の「転倒予防教室」を旧・東京厚生年金病院(現JCHO/東京新宿メディカルセンター)に創設して、運営を継続している時期の実践記録的要素も含めた内容となっている。

 元々は、雑誌『暮しの手帖』(暮しの手帖社、当時、大橋鎮子社長:2013年93歳没)の特集記事「ちかごろ転んだことはありませんか」を読者からの転倒体験を元にして、編集・掲載したことから、本書の企画が成立した。

 最近、連載した夕刊フジのコラム「Ⅾr.ムトーの『転ばぬ教室』」のタイトルの原点は、本書にある。
 内容は下記のとおりである。


第1章 死ぬまで元気でいたい
第2章 人が転ぶ
第3章 転びやすい人
第4章 転ばないために
第5章 転んでも起きればいい


 「あとがき」には、暮しの手帖編集部の出版意図が次のように示されていた。

 “高齢社会を迎えた今日、この本の出版によって、世の中の「転ぶ」ということへの関心が高まり、転倒を防ぐために、少しでもお役に立つことができましたら、幸いです。”
 
 また、大橋鎮子社長と親しい評論家の秋山ちえ子さん(2016年、99歳没)が、長寿ラジオ番組『秋山ちえ子の談話室』(TBSラジオキー局、1957年9月~2002年10月放送)で、誠に丁寧に本書の紹介をしていただき、その録音テープを暮しの手帖社から届けていただいた。今も大事に書斎に保管しているが、出版に伴う嬉しい副次効果であった。

 ちなみに、表紙のイラストは「転倒予防教室」の卒業生の高齢女性をモデルにして描かれたマスコット・キャラクター「スミちゃん」。七転び八起きの雪だるまが、杖を放り投げているデザインであり、当時、Tシャツ、バッジなどを作成し、スタッフや教室参加者に愛されたロゴマークである。「スミちゃん」は、「(転倒)骨折のプロ」を自称して、何回も転んで骨折しても、気落ちすることなく、ひたむきにイキイキと生きた「人生の転倒予防」の達人であった。

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