高齢者の転倒事故は、自宅、屋外、公共施設、病医院、介護施設、乗り物(バス、電車、飛行機、船など)の中、スポーツ・フィットネス施設など、多種多様な場所で起こります。
 転倒の原因は、高齢者のからだや心の要因(内的要因)と高齢者の生活・行動を取り巻く環境の要因(外的要因)の二つがあります。
 日本転倒予防学会をはじめとする医学、看護、介護などの専門家の関心の多くは、前者の内的要因についてであり、学術研究や調査、対応も高齢者を主体としたものが国内外で積み重ねられています。

 一方、外的要因、例えば高齢者が身に着ける服装、履き物、帽子、メガネ、杖、あるいは利用する床面、道路、階段、スロープ、さらには家屋構造などについての学術研究や開発も大変重要です。

  眼鏡のイラスト  杖のイラスト2  玄関のイラスト(室内風景)

これまでも、数多くの開発商品やシステムが世に出され、日本転倒予防学会では優れた商品については、所定の審査を経た後、「推奨品」として認定してきました。
 その制度とは別に、「こうした転倒予防グッズを開発しようと考えているが、ご意見をいただきたい」などの相談や問い合わせが、時々私のところにもありました。
 もちろん、社会に役立つ新規商品は高齢者の転倒予防の普及のために必要です。しかし、一方で、日本転倒予防学会の推奨品制度との関係から、場合によっては利益相反と誤解されるリスクがあるとも考えていました。

 そこで、今般、東京健康リハビリテーション総合研究所が主催する形式で「転倒予防グッズ開発研究会」を開催し、そうしたニーズ(必要)とシーズ(新たな開発素材)について、個々の研究者、専門家の立場で意見・情報・データなどを発表・交換し合い、それぞれの今後の開発事業の展開を促進し、結果、転倒予防の普及・振興と新たな事業の拡充に結びつけようと研究会を企画しました。
 世話人には、私に加えて、藤田医科大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座大高洋平教授に参画していただき、協力として日本転倒予防学会、そして本総研の連携機関である身体教育医学研究所(長野県東御市)と身体教育医学研究所うんなん(島根県雲南市)にも加わってもらい、研究会当日の運営にも参画してもらうことになりました。

 発表者は、これまでの様々なご縁から、エーザイ(株)、(株)コーポレーション・パールスター徳武産業(株)光研化成(株)藤田医科大学(株)Magic Shields建築士・中谷俊治氏(株)NTTデータ積水成型工業(株)など、計10の事例発表をしていただくことになっています。

 すでに、30名あまりの参加申し込みをいただいています。コロナ禍の中ではありますが、ワクチン接種も着実に広がっていることもあり、会場の学士会館の担当者とよく協議して感染予防対策をしっかり講じた上で、対面式で開催します。和やかで実りある研究会となるよう、所員一同、これから準備をしていきますので、是非、興味・関心のある多くの方々の参加をお待ちしています。

 当日のプログラム内容の案内と参加申し込み方法は、下記のリンクよりご確認ください。

転倒予防グッズ開発研究会 概要

*緊急事態宣言の延長に伴い、日時が2021年11月15日(月)13時~18時に延期されました。

転倒予防 面白ゼミナール Archive