私の99冊目の著書である『神経疾疾患患者の転倒予防マニュアル』饗場郁子/脳神経内科医鮫島直之/脳神経外科医と共編、新興医学出版社、2021年3月31日刊)の刊行記念のオンライン・シンポジウム「明日から役立つ神経疾患患者の転倒予防講座」が、6月13日(日)に開催されました。全国から医療従事者をはじめとして125名(この内、日本転倒予防学会認定・転倒予防指導士が約半数を占めた)の視聴がありました。視聴料は、「A:書籍と受講のセット」「B:受講のみ」と2パターンに設定され、ご本人のニーズに合った仕組みになっていました。

 元々、新興医学出版社の林峰子社長が「新たな本を発刊するにとどまらず、それを記念してこのコロナ禍の中だから、オンラインのシンポジウムを開催しましょう」と提案してくれたのが契機となり、「爪ケア」の書籍発刊記念に引き続いて企画をされたものです。

 第1部では、脳神経内科医・脳神経外科医から見た「転倒予防のポイント」を饗場・鮫島両医師が解説し、第2部では、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士の立場から、東名古屋病院と東京共済病院のメディカルスタッフが、実践的な専門的知識・情報をわかりやすく語ってくれました。

 神経疾患患者は、家庭でも、病院でも、介護施設でも、屋外でも、通常の高齢者以上にしばしば転びます。たとえば、進行性核上性麻痺の転倒リスは64%、パーキンソン病60%、脊髄小脳変性症55%などという高い転倒リスクがあります。

 したがって、医療従事者、介護施設職員らが、それぞれの神経疾患患者の転倒予防に関わる専門的・実践的な知恵を有することはきわめて重要なのです。

 私は、シンポジウムの最後の総括を担当しましたが、今回の要点を下記の6点にまとめました。

「ハ」:ハイリスクを半分に減らす。

「ヤ」:やさしくふかく おもしろく伝える。 

「シ」:神経疾患それぞれの転倒の特徴を知る。

「ミ」:みんなの知識と知恵を集める。

「ネ」:念ずれば 花ひらく(坂村真民/癒しの詩人の言葉)。

「コ」:心を一つにして、多職種で楽しく多面的に
    (東名古屋病院の転倒予防チームの合言葉「3つの『た』」より)

 頭文字を縦読みすると新興医学出版社・社長の名前、「林峰子」になります。

 書籍の企画・構成・制作・発刊という一連の作業に連なり、「発刊記念シンポジウム」という形態で、新たな営業戦略と社会啓発を図ろうとするこうした活動は、今後も広められてよいと思います。

    

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