新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延も3年目。社会経済活動や一人ひとりの日常生活に多大な影響をもたらすばかりでなく、しかもなおこのウイルスは変異を繰り返しつつ、しぶとく人類に歯向かい続けています。

 8月には、都内の70代の男性(筆者自身もこの年代の仲間の一人)の救急搬送に、要請から35時間47分を必要とした事案があったとニュースにありました(東京消防庁)。
 この男性は屋外を歩行中に転倒し、右太ももを負傷したが、入院前に医療機関で行ったPCR検査で「要請」と判定され、脚の外傷治療とコロナ対応を同時に行える病院への転院が必要となったために、医療機関からの救急要請となったそうです。つまり受け入れ先を探すのに、丸一日半かかったしまったという状況だったのです。

 「東京には病院はないの?」という素朴な疑問も湧いてくる事案です。

据置型ゲーム機で遊ぶ子供達のイラスト(男の子・折りたたみ型) 一方、東京健康リハビリテーション総合研究所の連携・協力機関である「身体教育医学研究所うんなん」(島根県雲南市)の北湯口純主任研究員、安部孝文客員研究員(島根大学地域包括ケア教育研究センター助教)らの研究グループの調査研究によると、コロナ禍前と現在の幼児の運動能力を比較検討したところ、年少・年中・年長児の全ての学年で、走る・投げるといった能力・記録が低下していたことが示されました。コロナの巣ごもりなどで日常の身体活動や運動あそびの機会が減少したことが原因と考えられます。コロナ禍であっても、子どもの心身の健全な発育・発達の基礎となる運動やあそびの機会と時間を増やすことが求められています。

 ところで、筆者は7月上旬には4回目のコロナワクチン接種を、住まいのある世田谷区の会場で済ませていたので、ひとまず安心と考えていました。
インフルエンザの検査のイラスト ところが、その接種の翌週に都内のある会議・会合があり、その翌日、同席者の中に無症状の感染者がいたことが分かりました。すぐに筆者は抗原検査をし、陰性だったので雲南市への出張に出掛けたところ、念のために現地で受けたPCR検査で「陽性」と判明。その日の午後の会議も、翌日の講演会も止むなく中止となり、地元の皆さんに多大なご迷惑をおかけすることになってしまいました。

 同市内の保健所の指導と支援により、島根県の療養施設に入所でき、丸8日間滞在し、所内の看護師さんや県の職員の方々からは親切で丁寧なサポートをしていただきました。幸い、ワクチン効果で症状がごく普通の風邪程度であったので、外出禁止と禁酒の生活ではありましたが、突然訪れた夏休みと「単身赴任生活」の中、読書三昧の日々を過ごしました。おかげで読みたいと思っていた直木賞(2021年下半期)作品の『黒牢城』(米沢穂信)と『塞王の楯』(今村翔吾)の2冊を、じっくりと味わいつつ読了できました。最近は、文庫本が多かったのですが、これほどゆっくりと分厚い新刊本を読み続けることができたのは、コロナ禍のおかげと感じています。

 少しずつ体調も回復してきた頃には、運動不足になることを避けるために、午前30分ほどのストレッチングと午後30分ほどのその場ウォーキング(腿上げを含む)などのエクササイズタイムを設けて日々を過ごしました。
 所定の入所日数を過ごし、無事、療養施設を退所して帰京した時は、「お勤めを終えて出所した」人の気持ちが、ほんの少しですが分かったような気分でした。 

いろいろな表情の入院中の人のイラスト(おばあさん・笑顔) ところが東京へ戻って数日してから、徐々にハムストリング(大腿の裏側の筋肉)が痛み始め、家族からも脚を引きずっていることを指摘されるほどでした。振り返れば、施設療養中の狭いスペースでその場ウォーキングをし、しかも普段はしない腿上げを取り入れて、意識して頑張ってやり過ぎたことによる「遅発性運動後筋肉痛」と自己診断しました。

 なんとか、帰京後1週間程度でそれも収まり、8月から元の元気な状態で活動をすることができるようになりました。思えば、年齢を重ねても、コロナ禍で様々な体験をすることができ、多くのことを学んだように思います。

 いずれにしても「コロナでロ(ぶ)ナ!」を肝に銘じましょう。

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