食事の後には歯を磨く。
むし歯のイラスト この習慣は、幼い頃から親が子どもに身に付けさせることが一般的になりました。それでも文部科学省の令和2年度学校保健統計を見ると、子どものう歯(虫歯)の被患率は、幼稚園児(5歳)30.34%、小学生(8歳)47.51%、中学生(13歳)32.04%と依然高い割合を示しています。

歯ブラシと綺麗な歯のイラスト したがって、特に幼い子どもは、食事の後に歯を磨くことが大切であり、それ以後の自身の健康管理に役立つことを知らせるために、保護者が直接介助したり、そばで見守って正しく安全に歯磨きが行われるように注意する必要があります。

 実は、子どもが歯磨きをする時に歯ブラシを口にくわえたままソファや踏み台の上に乗っていて、誤って転びノドを突く事故が最近、相次いでいるのです。

 消費者庁・国民生活センターでの調査でも、歯磨き中に歯ブラシを口にくわえたまま歩いたり、跳びはねたり、遊んでいたりした時に転倒してノドを突く事故が多くなっていると発表されています。特に1歳から3歳頃の子どもが自身一人で歯磨きをしていて起こす事例が多いようです。

 たとえば、歯ブラシをくわえたま大人用ベッドの上で跳びはねる、歯磨き中に兄弟姉妹とじゃれ合う、歯ブラシをくわえたまま歩いて場所を移動するなどしていて転び、口の中の歯ブラシがノドを突き、咽頭を傷つけたり、頚動脈損傷の疑いが生じて、入院という事例が報告されています。

 かつて、「杏林大学病院割りばし事件」という重大事故がありました。1999年7月10日の夏の夜、東京・杉並区の男児(4歳)が、盆踊り大会で、綿菓子を買ってもらい、口にくわえたまま走り、転倒してくわえていた割りばしがノドに突き刺さりました。割りばしは折れ、その先端は引き抜いたのですが、割りばしの奥の破片(7.6cm)は残り、小脳まで達していたため、翌朝死亡。救急対応した医師の過失の有無について、刑事訴訟(業務上過失致死)、民事訴訟(損賠賠償)で争われました。結果、いずれも無罪となりましたが、全ての関係者が大変不幸な事態を迎えた転倒事故となりました。

仕上げ磨きをするお母さんのイラスト う歯(虫歯)を防ぐために幼い子どもの歯磨き習慣をつけることは、とても大切ですが、このような不幸な事故を繰り返さないためにも、特に1歳から3歳頃の子どもの歯磨きは、必ず保護者が介助するか、そばで見守り、歯ブラシを口にくわえたまま歩いたり動き回らないように、しっかり注意することが必要です。

 

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