日曜日の夕方、軽快な音楽(中村八大 作曲)で始まる日本テレビ系列の長寿番組『笑点』を楽しみにしているファンは多いことでしょう。寄席に出向いたことはなくとも、落語家の存在をこの番組で知り、落語に興味を持つという効果は大きいでしょう。

 その番組の大喜利の最古参メンバーである林家木久扇先代 木久蔵 83歳)が転んで骨折をしました。

体育座りをする人の後ろ姿のいのイラスト(棒人間) 5月24日(月)の夕方、自宅の仕事場(絵画やイラストを描くためのアトリエとして使っている工房)の玄関の段差につまずいて転倒し、大腿骨骨折をきたしたと言います。買い物から帰宅してそのまま仕事場に向かったようですが、予定の時刻になっても現れない木久扇を不審に思った家族が探しに行ったところ、「体育座り」(お尻を床に着けて、揃えて立てた両膝を両腕で抱える座り方。学校の体育授業でよく用いられることから、その名がある)をしている本人を見つけ、その日のうちに、都内の病院を受診して骨折が判明し、即入院となって手術の運びとなったようです。

夕方の土手のイラスト(背景素材) 80代の高齢者、自宅、夕方、段差、つまずくという、転倒・骨折の典型的な事例と言えます。「80代」になると、誰でも体力、特に脚力が弱ってきます(まさしく、「老化は脚から」)。高齢者の転倒・骨折事故は、実は住み慣れた「自宅」で起こることが多いのです。「夕方」は、黄昏たそかれと別名があるように、暗くなってきて、顔の判別ができなくなり、「かれ(お前は誰?)」と問わなければならないほど、足元にある「段差」も見にくくなります。「つまずく」は何の障害物もない平面でも起こりますが、最も起きやすいのは段差です。

 こうした要因が重なって、木久扇の転倒・骨折は発生したと推察されますが、即日入院して、大腿骨骨折の手術が行われ、適切なリハビリテーション医療が行われれば間違いなく寄席の高座や『笑点』にも無事に復帰できることでしょう。

 元々前向きな性格で、「起きてしまったことはしょうがない」と語っているようですから、「人生七転び八起き」で、また笑顔の姿が見られることを待ちましょう。

 長く続くコロナ禍の中、抑制されたこうした日常生活だからこそ、落語家のもたらす笑いは大切です。笑いはからだの免疫力を高めます。

 コロナには、笑いが効くゾー(木久蔵)と、オチを一つ。

転倒予防 面白ゼミナール Archive