超高齢社会(人口の中に占める高齢者の割合が21%を超える社会。日本は現在29.1%。「超高齢社会」という方が適切かもしれません)となった日本。寝たきり、要介護の高齢者の増大や高齢者の転倒・転落死の増加は、国にとって重大な社会的課題となってきました。国の「頭痛の種」とも言えるでしょう。

 さて、今般、新刊本『頭痛外来ガイドーエキスパート解説&専門医も驚くトリビアー、便利なセルフチェック付』(丹羽潔、武藤芳照著、新興医学出版社、2022年1月5日刊)を上梓しました。頭痛専門医の丹羽潔医師にわファミリークリニック院長、東京頭痛クリニック理事長)との共同著作で全7章の内、私は第7章「あの人もこの人もみんな頭が痛い」の執筆と企画、制作を担当しました。

 本書の広報用にYou Tubeで5本の動画配信を行っており、そのうちの1本が、このタイトルの「頭痛と転倒予防」です。

 出版社からいただいた指定タイトルで、当初はその内容・構成をいろいろ考えざるを得ず、頭を痛めていました。しかし、これまでの転倒予防の経験と研究・実践を整理する良い機会となりました。

 そして、次のようにまとめ動画制作を無事終えることができました。

 強い頭痛により転倒をきたす例は、くも膜下出血、群発頭痛、片頭痛、正常眼圧緑内障などがあります。頭痛薬の副作用でめまい、ふらつきなどを起こし、転倒を招くリスクがあるものには、降圧剤、トリプタン系薬剤、三叉神経治療薬等があり、服用に際しては、こうした転倒リスクについて認識しておくことが必要です。

 また、転倒して頭部外傷をきたし、結果、頭痛をきたす例としては、慢性硬膜下血腫が代表でしょう。高齢者が転倒、転落した折に、壁や家具、床面、道路などに頭をぶつけて、特にその時点では異常がなかったものが、数週間後に、次第に頭痛や体調不全を生じ、検査したら慢性硬膜下血腫であったという事例は少なくありません。これも高齢者の頭痛としては、要注意なのです。

 頭痛と転倒との相互関連を見直してみると、頭痛の専門家と転倒予防の専門家が手を結び、お互いにそれぞれの課題について多角的にとらえることで、医学、医療の進化に結びつくと考えられます。

 そうした営みにより、多くの人との頭痛の種が減りますように。

 


 

『頭痛外来ガイド  エキスパート解説&専門医も驚くトリビア 便利なセルフチェック付』

丹羽 潔(東京頭痛クリニック理事長)
武藤芳照(東京大学名誉教授、東京健康リハビリテーション総合研究所 代表理事 / 所長)

発行元:新興医学出版社
2022年発行 A5変形判 168頁
本体価格3,300円+税
ISBN 9784880029139

 

 

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