フレデリック・フランソワ・ショパン(1849年、39歳没)は、ポーランドの作曲家・ピアノ奏者です。作った曲のほとんどは、ピアノ独奏曲(ピアノソロの曲)であるため、「ピアノの詩人」と呼ばれ、今も世界中で愛され、演奏され続けています。


その彼の名前を冠した「ショパン国際ピアノ・コンクール」は、ショパンの命日である10月17日の前後3週間に5年に一度ワルシャワで開催され、ショパンの作品だけで競われる若手ピアニスト(16~30歳)のコンクールです。

ゴールへのシュートのイラスト(サッカー) 今年、第18回コンクールが開催され、見事2位に入賞したのが反田恭平そりたきょうへいさん(27歳)。実は、彼は子どもの頃はサッカー選手を目指し、ワールドカップ出場を夢見る「サッカー少年」だったそうです。小学校5年生の時、試合中に転倒して右手首の骨折を負ったことからサッカーをあきらめ、幼い頃から親しんできたピアノに本格的に向き合うようになったと言います。

 いわば、転倒が人生の転機(ターニング・ポイント)を成し、多彩な活躍ぶりを示す国際的ピアニストを育んだのです。

 実は、転倒が人生を変えた著名な人物は過去にも居ます。

閉じた扇子のイラスト 三遊亭圓生えんしょう6代目(1979年、79歳没)は、元々子ども義太夫で活動していましたが、石段で転び、胸を強打して医師から義太夫を止められたことが契機となって落語に転向したのです。その転ぶ事件がなかったら、偉大な名人落語家は誕生しなかったことでしょう。

 一方、ジャイアント馬場(1999年、61歳没)は、元々プロ野チャンピオンベルトのイラスト球・巨人軍の投手でしたが、キャンプ中の宿舎の風呂場で転倒し、巨人症で大柄な体格だったことが災いしたせいか、からだごとガラス戸に突っ込んで左腕に大ケガをしたことが契機となってプロレスラーに転向したのです。この転倒がなければ、彼の得意技である「16文キック」も生まれなかったことでしょう。

[引用図書]

武藤芳照 著 『あの人も転んだ この人も転んだ―転倒噺と予防川柳―』三恵社、2021年2月発刊

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