- Dr.ムトーのショート・コラム
- 2026.06.23

Dr.ムトーのショート・コラム
#30『マンジャロってなんじゃろ』
「アフリカらしい山の名前だね」と語った、中学生時代の社会科担当教諭の言葉を久しぶりに思い出した。「キリマンジャロ」。タンザニア共和国にあるアフリカ大陸最高峰(標高5,895m)の名前だ。その名を借用したとされる糖尿病治療薬の「マンジャロ」(チルゼパチド)。効果の高さがキリマンジャロ級か。

キリマンジャロ山と富士山の大きさの比較
「マンジャロ」は2型糖尿病(遺伝的体質に過食や運動不足などの生活習慣が重なり、インスリンの働きが弱くなって発症)に有効な皮下注射薬(週1回、5mg)で、血糖コントロールの改善効果を有する。強い食欲抑制効果もあり、体重減少を期待して、ダイエットや美容のために、目的外使用で一部医療機関の自由診療による適応外処方やSNSなどでの違法な無許可販売が問題となっている。

医療機関で処方された場合でも、低血糖や急性膵炎などの重大な副作用が起きるリスクがあり、目的外使用で医師の判断とコントロール下にない状態では、そのリスクは一層高まる。厚生労働省も、「目的外使用は、安全性・有効性は確認されておらず、思わぬ健康被害につながる恐れがある」として、6月16日に、都道府県を通じて医療機関に適正使用を行うよう通知した。
「夢のやせ薬」、「メディカルダイエット」などと聞くと、目新しさが強いほど人々の関心を呼び、いとも簡単に手を出す傾向にあるようだ。大昔には、ヒ素を使ったりサナダムシを体内に取り入れる方法すらあったという。体重を落とすためには、食事のコントロールと身体活動を高めるのが安全で最良。時間はかかるが、その効果は、間違いなく「キリマンジャロ級」だ。
執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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