Dr.ムトーのショート・コラム

 

#33『水谷八重子さん 終幕』


 劇団新派を代表する俳優の二代目水谷八重子(本名:松野好重)さんが、8月28日に、肺炎で死去された(87歳)。長年、舞台・映画・テレビドラマ・ジャズ・エッセイなどで多彩に活躍する一方、日本俳優連合の理事長を務めていた。今は、都内杉並区永福(井の頭線・明大前駅近く)の築地本願寺和田堀廟所に、実母の初代八重子と共に眠る。

 私の東大時代に、雑誌『暮らしの手帖』の健康関連の特集について協力したご縁で、大橋静子社主(2013年、93歳没)の仲介で八重子さんとつながり、お互いに大の猫好きであったこともあって、親しく健康相談に乗ったり、日本転倒予防学会や日本舞台医学会の名誉会員を務めていただいたり、お互いに持ちつ持たれつの間柄であった。第1回転倒予防医学研究会(学会の前身)を京都で開催した時(2004年10月10日)には、特別講演をしていただき、ピンヒールで舞台に登場して「こりるということ」と題して、面白く深いお話をいただいたことが懐かしい。

第1回転倒予防医学研究会(2004年10月10日)で起立のまま特別講演をする、ありし日の水谷八重子さん。(右は座長を務めた故杉岡洋一九州大学総長)

 16歳(1955年8月)で新派公演に歌舞伎座で初舞台、そして85歳(2025年2月)での南座での「三婆」の公演が、実に70年に及ぶ最後の舞台となった。芸道一筋に堂々と生き抜いた見事な人生の終幕であった。

(イラスト:Google Geminiで作成〕


執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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