- 健康医学 面白ゼミナール
- 2025.02.25
この1月、大相撲の第74代横綱に大関豊昇龍(立浪部屋、モンゴル出身、25歳)が昇進しました。身長188cmの恵まれた体格を活かして、叔父さんの第68代横綱朝青龍を目標に、3月の春場所(大阪)からの活躍が楽しみです。
相撲界の長い歴史で燦然と輝く最強力士と言えば、江戸後期の雷電為右衛門(1825年、59歳没)です。現在の長野県東御市(旧・小県郡大石村)出身で、当時の最高位の大関として、大いに活躍しました。その雷電没後200年を記念して、先日の2月22日(にゃんにゃんにゃんの「ねこの日」)に、東御市文化会館で面白い相撲大会が開催されました。「どんどこ!巨大紙相撲大会 雷電東御場所」です。
通常、紙相撲と言えば、テーブルの上で紙で作った力士を戦わせるものですが、この大会では、所定のダンボールで工作した人間よりも大きい力士同士を、東西に陣取った応援団が土俵に見立てた床面を「どんどん」と両手で叩き続けて、戦わせる試合形式です。加えて、本格的な装いと仕草の行司が中央に立ち、采配をして勝敗を決めるというしつらえなのです。
東御市には、当研究所の連携・協力機関である(公財)身体教育医学研究所(岡田真平所長)があり、今回、堀口所員を中心に、スタッフ及びその家族も協力して皆で準備し、ねこ型新人力士の「武藤山」を誕生させて初土俵に臨んだのでした。
「出身地:身体教育医学研究所、得意技:転倒予防体操、性格:縁と運と恩を大事にする、部屋名:ケアポートみまき部屋、親方名:リミ親方」と『力士名鑑』西に登録されました。これに、自他ともに認めるねこ好きの私が、次の得意技を追記したのです。①肉球突き出し、②すりすり寄り切り、③ひっかき投げ、④ふみふみ倒し。
事前に、研究所スタッフは、研究所らしく、土俵の叩き方を丹念に研究し、上半身の筋力トレーニングやストレッチングも個々に積みかさねて、土俵に向かったのです。東の相手力士は、四股名「化け猫の海」、得意技はうみねこだまし。残念ながら、この勝負は寄り切りで武藤山の負けでしたが、その後は善戦して、結果2勝2敗でした。
この企画の素晴らしいのは、紙相撲大会の実施を目指して、その地域の老若男女が一体化して、知恵を出し力を合わせて準備し、おざなりではなく本格的な形式と土俵をしつらえ、「わいわい!」「どんどこどんどこ!」と皆で一斉にからだを動かし心を動かして、自分たちの相撲に夢中になることです。
しかも一貫して、ユーモアのセンスが随所に光り、思わず皆の笑顔を誘うような粋なネーミングや表現、演出が際立っていることでしょう。
古代ギリシアの哲学者のアリストテレスは、「ライフ イズ モーション」という言葉で「人生(生命、生活)は動くことだ」と、日々の身体の運動の重要性を伝えています。一方、この言葉には、心を動かすこと、つまり感動や情動という要素も人生には必要である意味をも込められているように思います。
※イラスト:武藤芳照著『スポーツ医学を志す君たちへ』より(久保谷智子筆)
これは、紙相撲に限らず、日常生活の中の仕事、家事、スポーツ、音楽、舞踊などの様々な活動にも共通しているのでしょう。いつも「わいわい!」「どんどこ!」などと面白く活動できたら、いつまでもからだも心も健康でいられることでしょう。
執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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