- 健康医学 面白ゼミナール
- 2024.08.28
全国には小学校が約2万校、中学校が約1万校あり、児童は約605万人、中学生が約317万人います。教育は国の希望であり、児童生徒の健康は将来の日本社会の発展の礎です。学校保健(保健教育と保健管理)は、そのための重要な活動であり、学校医や養護教諭の方々のみではなく、すべての教員や保護者も協力して推進していくべき事業です。とはいえ、現在の学校は、日常の課題が山積していて、教員の負担は大きく、地域社会の行政や住民、各種専門家が支援・協力して学校、ひいては児童生徒を守り育むことが求められています。
現代の子どものからだは、運動の不足と過多による二極化現象をきたしており、ここ30年余り、体力・運動能力は低下の一途です。一方、幼い頃から本格的なスポーツの訓練を継続して、脊椎や四肢の関節の障害をきたす子どもの事例も多くみられます。
そこで、2014年に学校の健康診断に運動器の検査の本格導入が決まり、2016年から実施され、それらの運動器の疾患・障害や運動器の機能不全というべき「からだの固い」児童生徒を早く見つけ、適切な事後措置(保健指導や運動指導、運動器の専門医への紹介等)が行われるようになりました。しかし、特にはっきりした異常や障害があるわけではない児童生徒への事後措置は、なかなか専門家でないとむづかしく、現場では大きな課題となっていました。
そこで、公益財団法人運動器の健康・日本協会(東京都文京区、標語「動く喜び 動ける幸せ」)が、この8月までに「認定スクールトレーナー制度」による講習会・認定試験を行い、初の「スクールトレーナー」(当協会の登録商標、ScTと略す)130名が公表されました。全国47の各都道府県に2~3名が認定されています。今後、当協会~各地域の医療機関~学校・教育委員会等とのトライアングル(下図)により、円滑な連携をして、児童生徒への保健指導や予防教育の活動ができるように、皆で協力して、この事業を大切に展開していきたいと思います。
幸いに、この情報に関する記事が、全国の各地域紙に大きく掲載され、社会の理解が広がり深まることを期待しています。
子は国の宝です。超高齢社会だがらこそ、子どもたちが心身ともに健やかに育つために、ScTの活躍を。
執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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