<武藤所長 著作を語る>

第43作『乳がん術後の運動・生活ガイド -運動療法と日常生活動作の手引き-日本医事新報社2001年


・編集:岡崎邦泰(岡山・くにとみ外科胃腸科医院院長)
森本忠興徳島大学医療技術短期大学部教授)
武藤芳照(東京大学大学院身体教育学講座教授)
・発行:日本医事新報社
・発行:2001年
・サイズ:B5判・136p
・ISBN:4784942203

 

 

 

 編者の3人は、日本水泳ドクター会議(日本水泳連盟のスポーツ医の集まり)の仲間。自身の古式泳法の経験を基礎に、乳がん術後の水泳指導を全国に先駆けて始めた岡崎、森本の乳腺外科医としての学識と技術・経験と、武藤の身体教育学・スポーツ医学の観点とを総合させ、構成・編集したものである。
 かつては、進行がんを主体に、乳房切除術が盛んに行われていた。それは乳房そのものばかりでなく、胸の筋肉も大きくえぐり取る“ザックリとした”手術だった。手術後の患者さんの多くは、がんそのものの病気の重さと恐怖に加え、「女性の象徴」を失った哀しみを深く味わうことが避けられなかった。そして、今、診断技術と医療システムの格段の向上により、手術の対象は早期がんが多くなり、それに伴って乳房そのものをできるだけ残存し、胸の筋肉も取らない方法が主流となっている。

 「それは乳房のふくらみに象徴される、女性のからだと心、そして生活の質を大切にする観点と筋肉に象徴されるからだをしっかりと動かすことを大切にする観点が貫かれるようになったことを示しています。その背景には、乳がんの患者さん自身、そして社会全体の乳がんとジェンダー(社会的性)に対する認識の向上が大きく関与しています。
 本書は、このような基本思想の下、乳がんの患者さんの日常生活を見つめ、手術した後、いつまでも健やかな実りある日々を過ごしていただくための、さまざまな知恵を集大成したものです。乳房のふくらみと筋肉を温存する手術と同様に、乳がん術後の患者さんたちが、希望と自信を持ち、元気で自身の人生をしっかりと歩いていただくために役立つ大切な情報を」(本書「はしがき」より)わかりやすく書きつづった。
 19名の執筆者(医師、理学療法士、管理栄養士、看護師、スポーツライター)の手により40の質問と解説、13のコラムで構成されています。
 たとえば、次のような項目に象徴される日常生活の視点を定め、乳がんの患者さんのからだを動かし、心を動かし、自信と希望を持った人生につながることを希望して制作されました。

Q15 手術後のリンパ浮腫(むくみ)とは
Q16 手術後のキズのケアは
Q24 術後の胸帯、下着と洋服の工夫と注意は
Q25 日常生活や家事・仕事上での注意・工夫は
Q26 術後、入浴や温泉で工夫・注意することは
Q29 術後の冠婚葬祭・パーティ時の工夫と注意は
Q30 術後の自転車・自動車運転時の工夫と注意は
Q31 術後の旅行時の注意点は
Q32 術後のスポーツウエア、水着の選び方は

 

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