- 著作を語る
- 2021.10.06
<武藤所長 著作を語る>
#28『スポーツトレーナーマニュアル』』南江堂 1996年
・編集:武藤芳照、村井貞夫、鹿倉二郎
・発刊:1996年4月1日
・発行:南江堂
・サイズ:B6判(高さ19㎝)・500p
・ISBN : 978-4524202775
本書は、1992年のバルセロナ五輪の頃から企画が始まり、最終的に発刊されたのがアトランタ五輪の頃となり実に4年の歳月を要した。
序文には「企画・構成そのものが煮詰まらなかったり、各項目の執筆に相当遅れが生じたり、編集作業に予想以上の苦労と努力を要したりと、容易な道程ではなかった。その時の経過と混とんとした状態は、“スポーツトレーナー”の身分・立場・活動範囲・業務内容・資格制度などが必ずしも統一かされていないこと、専門領域と技術の違いにより、“スポーツトレーナー”の理解が大きく異なることを象徴しているかのようであった。」と書かざるを得ない状況であったことを思い出している。
その4年の間に、1995年3月、(財)日本体育協会公認アスレティックトレーナー制度が始動し、初の特別講習会が開催されたこともあり、結果、時宜を得た書籍の発刊となった。
スポーツ現場に携帯しやすいように、B6判のソフトカバーのハンディサイズとしたが、その内容・構成は、下記の通り、スポーツトレーナーとしての知識・技術・情報を体系的に整理できる実践書として工夫されている。
目次
スポーツトレーナーとは
スポーツトレーナーのための基礎知識
コンディショニングと外傷・障害のケア
救急処置とエイズ対策
部位別の外傷・障害への対処法
内科的疾患の対処法
スポーツ種目特有の外傷・障害への対処法
性・年齢と関連した外傷・障害への対処法
各種スポーツ種目におけるスポーツトレーナーの役割と注意点
各種競技会におけるスポーツトレーナーの役割と注意点
共編者として、当時関東労災病院リハビリテーション科所属の理学療法士・村井貞夫氏と日本初のNATA(全米アスレティックトレーナー協会)認定アスレティックトレーナー/ソニー企業(株)所属の鹿倉二郎氏に協力いただいた。
渋谷のソニー企業の会議室をお借りして編集委員会を幾度も行い、その後、近所の中華料理店で懇親会を行ったことも懐かしい思い出となっている。
その折、会議室のセットアップや懇親会の予約など、当時、同社に勤務していた金子えり子さん(旧姓・因えり子さん。その後、東京大学、日本体育大学、東京健康リハビリテーション総合研究所と14年の長きにわたり、武藤の秘書役を務めていただいた。2019年7月21日逝去)に、裏方としていろいろと協力していただいたのも良いご縁であった。
本書の南江堂の担当者であった中村一氏は、すでに退職され、もう一人の杉山孝男氏は現在部長職に昇格されており、また発行者であった小立鉦彦氏社長は、会長職となっておられるのを見ると、改めて四半世紀の時の流れを感ずる書である。