Dr.ムトーのショート・コラム

 

 

#11『SHOGUN将軍の殺陣と所作』


 俳優の真田広之さん(63歳)が、主演とプロデューサーを務めた米国配信ドラマ「SHOGUN将軍」が、第76回エミー賞で史上最多の18冠に輝きました。本格的、そして重厚な時代劇です。日本文化への敬意を基盤にして、多彩な人物群像と西欧文化との交流に伴う劇的な展開の数々が見事に描かれています。ポイントは、日本の俳優たちの殺陣のうまさと一つ一つの所作の美しさでしょう(Disney+に、早速加入して鑑賞)。
侍の決闘のイラスト

 日本舞踊の練習をする人のイラスト真田さんは、子役時代からの長い芸歴があり、かつJAC(Japan Action Club:故・千葉真一主宰)で鍛えた迫力のある身体表現力を有し、日本舞踊(玉川流)の名取(玉川大輔)でもあります。数多く出演してきた映画では、特に『柳生一族の陰謀』(深作欣二監督、ハヤテ役、1978年)、『たそがれ清兵衛』(山田洋二監督、井口清兵衛役、2002年)、『ラストサムライ』(エドワード・ズウィック監督、氏尾役)などでの圧倒的な存在感、卓越した殺陣と美しい所作が印象的です。たゆまぬ身体の鍛錬と、武術や舞踊の修練、国内外の多様な表現の研究の賜物でしょう。

 授賞式でのスピーチも秀逸でした。「あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えた」と、真摯に感謝と喜びと誇りをわずかな短い時間で表現しました。

 時代劇は、面白いのです。

 


執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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