Dr.ムトーのショート・コラ

 

♯18『あんぱんとウグイスパン』


 NHKテレビの朝ドラ(連続テレビ小説)『あんぱん』が好評です。アニメのアンパンマンの人気も高まり、あんぱんそのものを買い求める人たちも多くなっているようです。先日銀座に出かけたついでに、木村屋総本店に立ち寄り、あんぱんとウグイスパンを購入しました。困ったことに、外見でこの両者を見分けることが結構難しいことに初めて気づきました。実は、あんぱんは切れ込みが二つウグイスパンはそれが三つなのです。子どもの頃から、ウグイスパンが好物で、よく食べていたのに、このことを全く気にせず食べていて、朝ドラ『あんぱん』のおかげで、一つ知恵が増えました。

銀座木村屋総本店のホームページより
(画像をクリックすると木村屋総本店のHPへ)
酒種 小倉(明治7年発売) 酒種 うぐいす(昭和5年発売)

 また、あんぱんの中には、つぶあん、こしあんの小倉餡(あん)が、ウグイスパンの中には、「ウグイス餡」が入っています。ウグイス餡は、青えんどう(グリーンピース)が原材料の緑色の餡です。「梅にウグイス」と呼ばれ、春を告げる鳥の代表のウグイスは、実は、灰色がかった渋いグリーンの羽根でおおわれています。きれいなグリーンのいわゆる「ウグイス色」の羽根の持ち主は、実はメジロなのです。どこかで誰かが混同したものが、そのまま広がっているようです。
 とはいえ、多少の混同には目をつむって、時々はあんぱんやウグイスパンを味わうのは大いなる楽しみですね。

ウグイスのイラスト うぐいすのイラスト
ウグイス メジロ

 

 


執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
詳しいプロフィール

Dr.ムトーのショート・コラム Archive