- Dr.ムトーのショート・コラム
- 2025.02.25
Dr.ムトーのショート・コラム
♯15『SHOGUN将軍と無縁坂 』
真田広之(64)が」主演し、制作にも参画した米国のテレビ・配信時代劇ドラマの『SHOGUN将軍』が、昨年のエミー賞、ゴールデングローブ賞に続いて全米映画俳優組合賞・男優賞に輝いた(2月23日)。日本の戦国最強の武将・吉井虎永役の演技が高く評価されたものだ。この人物は、実在の徳川家康(1616年、75歳没)をモデルとしている。
家康は、徳川幕府初代将軍として、以後の15代・265年に及ぶ武家政権の礎を築いた。ただし、よく知られているように、その生涯は、幼年期から不遇・不幸・失敗・挫折・敗北・落胆のエピソードに満ちているように思う。そして、それらの負の人生を耐え続け、待ち続け、次第に運を積み重ねて、晩年の地位と権力を我が手にしたのだろう。
真田広之も、米国に渡って20年あまり、ここに至るまで、たくさんの汗と涙、数多くの挫折と苦労・努力を積みかさねて、今般の栄光に輝いたのだろう。
さだまさし作詞作曲、歌:グレープの『無縁坂』(1975年)の中に、「運がいいとか悪いとか・・・、そうゆうことって 確かにあると・・・・」の一節がある。「運がいい」「運が悪い」は、確かにある。しかし、「運がいい人」が、ずっと順風満帆だったのではなく、それまで多くの辛い苦しい悲しい場面、やるせない思いを何とか乗り越え、地道に努力してきたからこそ、結果として、光り輝く笑顔の瞬間に遭遇することができたのだろう。
「成功者の幸運は、運を逃がさぬ絶え間ない努力と運に乗って飛躍できるだけの実力と、運が来るまでの苦難に耐える忍耐の成果」(堺屋太一『豊臣秀長』より)だから。
執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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