2024.10.03
- Dr.ムトーのショート・コラム
- 2024.04.16
Dr.ムトーのショート・コラム
#06『ピッカピカのランドセル』
小学館の学習雑誌『小学1年生』のテレビCMで有名になった言葉、「ピッカピカの1年生」の季節です。ちょっと誇らしげに真新しいランドセルを背負って通学する子どもたちの姿を見るのは、嬉しいものです。ランドセルは、「ランセル」というオランダ語が変化して日本語になったようですが、幕末のころ、軍の兵士が使う背負いカバン(背囊)として、日本に移入されたとのこと。小学生の学習用品として我が国に定着していますが、今や大人がビジネスとして使うタイプも普及しています。
「ランドセルが重いと感じている小学生が9割に上る」(東京新聞、2024年4月11日、朝刊)とありますが、重さの平均は4.13キロとのこと。
明治18(1885)年に学習院で、小学生の通学カバンとしてランドセルが採用されたのが事始めで、学習院は、良家の子どもたちが車や人力車で通学するのを禁止し、自分の荷物を背負って歩くことで体力をつけることを意図してランドセルを規定したとのこと。当時の学習院第2代院長が、谷 干城(土佐藩出身の軍人・政治家、西南戦争時の熊本鎮台司令官)であったのは興味深いです。西郷隆盛率いる薩摩軍の猛攻に耐えて、熊本城を死守してその名を馳せた人物です。
ランドセルがあまりに重くて、通学が「痛学」では困りますが、教科書や文具をうまく整理して入れたランドセルを背負って、元気に徒歩で通学する小学1年生の姿を大人たちが見守ってあげましょう。
執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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