<武藤所長 著作を語る>

第41作『疲れる理由 ―現代人のための処方せん―』日経BP社2000年


・編著:著者:ベンジャミン・H・ネーテルソン
・監修:武藤芳照、山本義春
・発行:日経BP社
・発刊:2000年11月10日
・サイズ:B6判・ 284P
・ISBN ‏ :978-4822242046

 

 

 

 本著は、山本義春・東京大学教授の長年の研究仲間であるベンジャミン・H・ネーテルソン教授の著した『Facing and Fighting Fatigue-apractical approach-』(Yale University Press,1998年刊行)を翻訳したものである。この中には、下記の13章にわたって慢性疲労症候群を主軸にして、疲労や不調を抱えた一般人が、生活上でどのような工夫を凝らしたらよいかという、いわば「現代養生訓」(現代人のための処方せん)が記されている。

 また、そうした患者に対処しなければならない医療関係者にとっては、それらに関係した科学的根拠、論点となっている問題、すべきことと慎重にした方がよいことなどを具体的に示している。さらに、医師のあるべき姿や現代の医療・医学教育の問題点を、鋭く指摘した意見も髄所に見られる。

 

〔目次〕


第一章 疲労の定義

第二章 疲労の原因

第三章 機能性疾患

第四章 慢性疲労症候群(CFS)

第五章 医師を理解するには

第六章 睡眠の問題

第七章 運動の役割

第八章 ストレス対処法

第九章 専門家からの援助

第十章 患者への助言

第十一章 心理的原因の医学的治療

第十二章 慢性疲労疾患の治療

第十三章 まとめ


 

 翻訳にあたっては、武藤・山本の研究仲間である全国の下記の16名の医師と研究者により分担した。

【翻訳者一覧】


監訳者 武藤 芳照(東京大学大学院教育学研究科身体教育学教授)

    山本 義春(東京大学大学院教育学研究科身体教育学教授)

第一章 倉恒 弘彦(大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科講師)

    山口 浩二(大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科)

第二章 小長谷 正明(国立療養所鈴鹿病院神経内科医長)

第三章 祖父江 元(名古屋大学医学部神経内科教授)

    勝野 雅央(名古屋大学医学部神経内科)

    岡田 洋平(名古屋大学医学部神経内科)

第四章 青柳 直子(東京大学大学院教育学研究科身体教育学講座)

    吉内 一浩(東京大学大学院医学研究科ストレス防御・心身医学)

第五章 太田 美穂(東京大学大学院教育学研究科身体教育学講座・整形外科医)

第六章 大橋 恭子(東京大学大学院教育学研究科身体教育学講座)

第七章 大橋 恭子(同上)

第八章 熊野 宏昭(東京大学大学院医学研究科ストレス防御・心身医学助教授)

第九章 樋口 知(鹿児島大学医学部附属病院精神科)

第十章 鈴木 紅(都立墨東病院循環器科)

第十一章 永島 正紀(山口病院院長代理、日本大学医学部非常勤講師/精神科医)

第十二章 渡部 厚一(筑波大学医学部附属病院呼吸器内科)

第十三章 津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター/内科医)


 きわめて短期間の内に、翻訳作業を皆でこなし、編集・制作を進め、ネーテルソン教授の来日までに無事発刊にこぎつけられたのは、出版社のスタッフを含めたチームワークの成せる業だった。

 出来上がった書籍を手にしたとき、心地よい疲労を感じつつ、皆でビールを口にしたことを今もよく覚えている。

著作を語る Archive