- 著作を語る
- 2022.03.31
<武藤所長 著作を語る>
#36『ケガ・故障を防ぐ 部活指導の新視点』ぎょうせい、1999年
・編著:武藤芳照、太田美穂
・発行:ぎょうせい
・発刊:1997年7月1日
・サイズ:A5判・272P
・ISBN : 978-4324058350
子ども時代、毎日、夕暮れ時まで親しい仲間たちと原っぱや神社の境内などで実によく遊んでいた。その頃の子どもたちには、時間がたっぷりとあったように思う。そして、「明日もまたここでな!」と声を掛け合って家路へと急ぐ姿、そして「原っぱでの遊び」に、スポーツ(sports)の原点があったと考えている。
一方、部活動におけるスポーツ活動の重要さや意義は誰しも認めるところであるが、過度な質と量、まちがった指導法・トレーニング法等による児童生徒のケガ・故障の事例も多い。
《多数の重度のけが・故障を生み続けている部活の姿は、間違いなく不健康である。その姿を見つめ続けてきた時、新たな視点として浮かびあがってきたものが、実は「原っぱでの遊び」であった。
スポーツの原点とも言うべき、その自由さと自律性、多様さ、何よりも参加している誰もが実感できる楽しさが、最も重要な要素であろう。そのことを理解した上で部活の健全な運営がなされれば、けが・故障を防ぐことができ、また明るくたくましくかつ心の豊かな運動部員たちが、多く生まれるであろうと確信している。》(本書「はじめに」より)
本書の目次・構成は下記のようなものである。
第1章 事例から見る部活動の問題
第2章 数字から見る部活動の実態
第3章 部活動の意義
第4章 子どものからだの成長・発達と心の成熟
第5章 部活動の新視点
第6章 障害・事故の要因と予防策
第7章 けがや故障を防ぐ測定・評価と練習・トレーニング
第8章 けがや故障へのアフターケア
図 解 応急処置のポイント
下記の各分野・領域で活躍されている多彩な執筆陣に精力的かつ丁寧に論述していただいたので、大変わかりやすい内容になっている。
振り返ってみると、当時のスポーツ医学の実践活動、東京厚生年金病院整形外科での臨床医としての活動と東京大学教育学部での教育・研究活動とがうまく融合できた故の書籍制作であったように思う。
執筆者(順不同 / 所属・肩書きは当時)
武藤芳照 (上掲)第1章、第5章
太田美穂 (上掲)第6章
杢子耕一 (文部省教科書調査官)第2章
高橋義雄 (名古屋大学総合保健体育科学センター助手)第3章
伊東三吾 (都立広尾病院小児科部長)第4章 1, 2
原 光彦 (同上、小児科医師)第4章 3. 4
金岡恒治 (東京厚生年金病院整形外科医長)第7章 2, 6, 7, 8
石川知志 (同上、医長)第8章 1, 2, 3
田中尚喜 (東京厚生年金病院リハビリテーション室、主任理学療法士)第7章 1, 3, 4, 5
小松泰喜 (同上、理学療法士)第8章 4, 5, 6
岡部綱好 (東京消防庁救急部救急指導課課長補佐兼救急普及係長、消防司令〈平成11年4月より、救急医務課課長補佐兼救急業務係長〉)図解