<武藤所長 著作を語る>

#23『Medicine and Science in Aquatic Sports』KARGER 1991年


・Volume Editors:M.Miyashita, Y.Mutoh, A.B.Richardson
・Publisher:KARGER
・Publication date ‏ : ‎ November 1, 1994
・Dimensions ‏ : ‎ 7 x 0.75 x 9.75 inches
・Hardcover ‏ : ‎ 236 pages
・ISBN:978-3805559812

 

 

 

 本書は、国際水泳連盟(FINA)主催、日本水泳連盟主管の第10回世界水泳医学会議(1993年10月25~28日、京都市)の会議録である。2年毎に世界各地で開催されていた医学会議で、FINAの医事委員会の主たる事業の一つである。武藤が3度の五輪水泳チーム・ドクターを務めた後、FINA医事委員(1992~2000年)を務めた期間中の最初の重要な仕事であった。

 発刊元は、東京・本郷に日本支社を有していたスイスの出版社KARGER社であり、日本支社長及び本社の社長と幾度も連絡・調整、面談を重ねて発刊にこぎつけた。

 『Medicine and Sports Science』シリーズの第39巻目の位置づけで、編集は宮下充正東京大学教授(日本水泳連盟理事、医・科学委員長)とA.B.リチャードソン(国際水泳連盟医事委員長、米国ハワイ在住の整形外科医)が担当した。

 京都での世界水泳医学会議には、31カ国から180名の参加者があり、そこで発表された合計64の講演や一般発表のうち、同会議組織委員会と各座長から選抜された35の論文が所収されている。

 FANA医事委員会事務局長の法医学者Cameron J.M氏の「水泳の薬理生理学」の特別講演の論文をはじめ、1.水泳の生理学、2.水中スポーツの医学的側面、3,水泳のバイオメカニクス、4.コーチング、5.マスターズ水泳、6.エージグループ水泳選手と体型、7.水中スポーツ傷害、の7つの章立てで、水泳の医・科学に関する当時の最新の学術知見が組み入れられている。

 この医学会議のモットーは、SWIMcientific, arm, nteresting, emorable)であった。準備・運営のために、組織委員会のメンバー、京都のスポーツ医らと共に相当な苦労を強いられたが、振り返ってみれば、実に楽しく実り多い会議となった。

 この会議の直前に、東京大学教授への昇格が決まったこともあり、以後のFINA医事委員の一員としての国際的活動のスタートともなった印象深い書籍である。

FINAラフィーイ会長(前列右から4番め)、医事委員会メンバーと(前列左端に武藤所長)

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