2025.10.27
- Dr.ムトーのショート・コラム
- 2025.10.27

Dr.ムトーのショート・コラム
#22『ノーベル賞と耐力』
2025年のノーベル医学・生理学賞には、坂口志文大阪大学特任教授が、同化学賞に北川 進京都大学特別教授が受賞した。それぞれ「制御性T細胞」(自己の組織を誤って敵と認識して攻撃する、いわば不良品の免疫細胞を抑える細胞)の発見と、「MOF」(ジャングルジムのような金属有機構造体の新素材)の開発の功績が認められた素晴らしい研究成果だ。
お二人の研究の経緯を拝見すると、当初は、周りからなかなか認められず批判されたり冷ややかな目で見られたりしていたという。それでも、信念を曲げずに「素心」(坂口氏の好きな言葉)や「無用之用」(北川氏同)を胸に、それらの風雪に耐えてきたことが、今回の受賞に結び付いた。
人生には、色々な苦労・苦心や抵抗・障害、挫折・失敗などが付き物だ。それらについ負けてしまいたくなるのも無理ないが、それでも歯を食いしばって耐えていると、いつの間にか前に光が見えてくる。「禍福は糾 える縄の如し」「人間万事塞翁が馬」「朝の来ない夜はない」「ピンチの後にはチャンスあり」「耐えて咲く」・・・。
身体機能としての体力は必要だが、良く生きるための「耐力」は、もっと大切であることを、お二人から学びたい。
執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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