- 著作を語る
- 2025.04.16
<武藤所長 著作を語る>
第72作『新スポーツトレーナーマニュアル』南江堂、2011年
・編集:武藤芳照、鹿倉二郎、小林寛和
・発行:南江堂
・サイズ:B6判、458頁
・発刊:2011年8月30日
・ISBN:978-4524253616
前版の『スポーツトレーナーマニュアル』〔武藤芳照、村井貞夫、鹿倉二郎共編、南江堂、B6判、518頁、1996年刊〕を制作した時と同様に、再び生みの苦しみを味わった著作である。
ただし、「前版の目次・構成と比較して、その多様さと質・量の充実ぶりは一目瞭然であり、この間のスポーツトレーナーに関わる知識・技術・実践活動の積み重ねの大きさを知ることができる。スポーツ現場で長年先達として実践活動を続け、知識を深め技術を磨いてきた方々の苦労と努力に対して、改めて敬意を表したい。」(新版刊行にあたってより)と、記したように、きわめて充実した内容・質の構成(下記)となっている。
第Ⅰ部 |
スポーツトレーナーとは |
第Ⅱ部 |
スポーツトレーナーのための基礎知識 |
第Ⅲ部 |
コンディショニングの理論と実践 |
第Ⅳ部 |
現場でよくみられる外傷・障害・事故への対処方法 |
第Ⅴ部 |
性・年齢に関連した対処方法 |
第Ⅵ部 |
内科的疾患への対処方法 |
第Ⅶ部 |
各種スポーツ種目におけるスポーツトレーナーの役割と注意点 |
第Ⅷ部 |
スポーツトレーナーの多様な役割と注意点 |
第Ⅸ部 |
付 録 |
2011年3月11日(金)14時46分の東日本大震災が起きた年に無事刊行されたことも、想い出深い書籍となっている。
「大震災後、人々は、時の重みに耐えられる、変わらぬ価値あるもの、真に大切なものが何かをそれぞれ問いかけているように思う。
本書が語るスポーツトレーナー像は、5年、10年、20年経っても、時の重みに耐えられる、変わらぬ価値あるもの、真に大切なものであると確信している。」(同上)
3人の編集者の下、執筆陣は70名に及び、加えて、コラム執筆者が18名と、大規模な執筆体制の中、編集作業が進められ、その分、苦心したことも多かったことを記憶している。
計9章の項目と内容は、スポーツトレーナーの教科書的な精緻な記述がなされているが、随所に組み入れられた下記19のコラムの内容と多様さと新しさが、本書の味わいをより濃くしているように思う。
〔コラム〕
1. トレーナーが知っておくべき日本のスポーツ動向
2. 現場でのスポーツトレーナーの法律的課題
3. 動きを見ることの重要性
4. 缶コーヒーとカフェイン
5. アンチ・ドーピング相談
6. 祭りのコンディショニング
7. 水中歩行専用プール
8. テープかぶれ
9. 頭蓋内の解剖と急性期頭蓋内出血との関係
10. 2回目の衝撃症候群(second impact syndrome)
11. アトピー性皮膚炎の選手に対するトレーナーの関わり
12. スポーツドリンクとボトルカリエス
13. 健康のため水を飲もう
14. AED(自動体外式除細動器)の適応と限界
15. 高地トレーニングのコーチング
16. (財)日本陸上競技連盟医事委員会トレーナー部の活動
17. 五輪の舞台裏―スポーツトレーナーの生活
18. 甲子園からみたトレーナーの風景
19. 医療側とスポーツ現場側の認識の違い
執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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