<武藤所長 著作を語る>

第71作『認知症者の転倒予防とリスクマネジメント―病院・施設・在宅でのケアー日本医事新報社刊、2011年

・監修:転倒予防医学研究会
・編著:東京大学教授 武藤芳照、浜松医科大学教授 鈴木みずえ
・発行:日本医事新報社
・サイズ:B5版、223頁

・発刊:2011年8月28日
・ISBN:978-4784961771

 

 

 本書は、平成16(2004)年1月に始まった「認知症のある高齢者の転倒・骨折予防プロジェクト」(代表:武藤芳照、エーザイ株式会社協力)での議論や調査研究等の活動を基盤として、多職種連携で企画・構成・執筆した書籍である。このプロジェクトは、「SPESプロジェクト」と、命名していた。SPESは、ラテン語の希望の意味であり、またSpecial Prevention and Education Systemの頭文字を連ねた言葉にもなる。

 本書は、下記の構成で成り立っている。

第1章 認知症とは?-転倒予防に必要な認知症高齢者の基礎知識:Q1~Q9

第2章 認知症高齢者の転倒の実態と特徴―実例に基づいて:Q10~Q19

第3章 転倒予防とリスクマネジメントの方法:Q20~32

第4章 認知症高齢者の転倒予防に関する最新情報:Q33~Q44

 認知症の臨床研究・実践家はもとより、整形外科、脳神経外科、精神科、転倒予防、リハビリテーション、介護福祉、教育、法律、施設管理者等の多様な分野・領域の40名に及ぶ多数の医師・看護師・理学療法士・作業療法士・薬剤師・身体教育学研究者・施設長・弁護士等が、各質問に答える形式で、重要な知識・情報をわかりやすく工夫して執筆した。

 そして、全体の制作・発刊の理念は、「その根幹にあるのは、一人ひとりの生き方を大切にすること、人と人との信頼を大切にするという時の重みに耐える基本理念です。そして、それぞれの営みを真摯に続けることが『希望SPES』に結びつくものと信じています」の序文の一節に集約されている。

 このプロジェクトのメンバーを中心として、「転倒予防医学研究会」が同じく2004年4月に発足しており、我が国の転倒予防研究の黎明期の成果物である。

 


執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
詳しいプロフィール

 

著作を語る Archive