<武藤所長 著作を語る>

#14 『小・中学生への気になるスポーツ指導』草土文化, 1988


・1988年8月1日発刊
・編著:武藤芳照
・発行:草土文化
・サイズ:A5判
・ページ数:127
・ISBN-13 : 978-4794503268

 

 

 本著は、第12作の『スポーツ部活』の編集に携わったことから、同じ出版社から声がかりがあり、各分野における専門家の方々へのご協力を得て、制作された。運動部活動の主な対象である、中・高生よりも、さらに年齢が下がって、「小・中学生」を対象にしていること、「気になる」という表現で、スポーツ現場の問題点、課題点を明確にしようとしたこと、「スポーツ指導」のあり方を問い、あるべき姿を論じることなどが、そのタイトルに凝縮されている。

1.子どもの子どもによる子どものためのスポーツ
(武藤芳照)

2.子どもに起きるスポーツ障害と避けたい指導
(武藤芳照、齋藤 昇)

3.基礎を大切にした子どものためのスポーツ
(サッカー/塚本昭二、水泳/上田尚孝、野球/若林 清、スキー・ジャンプ/赤尾一郎/山本忠宣、ラグビー/山道信之

4.コラム・スポーツと私
(中条一雄、中村修三、上丸洋一、樋口優子、影山 健)

 目次の構成と執筆陣、そしてその内容には、子どもたちのこと、スポーツのことを愛してやまない大人たちの姿勢と思いが散りばめられている。

 とりわけ、スキー・ジャンプの項目を担当していただいた群馬県草津町の(同町のスキー診療所に武藤が旧東京厚生年金病院の派遣医師の一人として関わったことから、交流が始まった)、草津スキースポーツ少年団の指導者である赤尾氏と、同じ少年団で指導をする山本氏の「勝つための指導ではなく、長い見通しで子どもたちを育てる」の論考は味わい深い。彼らの苦い経験から指導方法を変革した経緯が示され、子どもたちのすべてのスポーツ指導に共通する重要なポイントが、静かにかつ的確に述べられている。

 この文章を書き綴り、コロナ禍さえなければ久々に草津町に伺い、湯畑直近の行列のできる焼き鳥屋の「静」(店主/山本忠宣さん)で、赤尾さんも交えて懇談したいと思った。

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