<武藤所長 著作を語る>

06『ダッフィールド・水治療法』杏林書院 1984

(原タイトル『Exercise in Water』)

・著者:M. H. Duffield著
・訳:宮下充正, 武藤芳照, 石原俊樹
・発行:(株)杏林書院
・1984年刊
・A5判 148ページ
・ISBN-13 : 978-4764400108
・価格:2200円(+税)

 

 

「水治療法」hydrotherapyは、読んで字の如し、水の持つ様々な特性を活用して、病気・障害の症状を和らげたり、治療すること。ギリシア語のhydro(水) + therapy(治療)が組み合わされた言葉から由来している。

 日本では、温泉療法・湯治の形で水浴、温泉浴の効果が広く伝承されてきた。

 本書は、水の有する様々な生理学的特性を活用し、水中運動の効果も加えて、治療あるいはリハビリテーションの一環として行う水中プログラムの基礎と臨床的応用について執筆された原書を翻訳したものである。

 発行当時、筆者が助教授を務めていた東京大学教育学部体育学講座の宮下充正教授と大学院学生であった石原俊樹との三人での共同作業であった。

 全ての和訳をまず石原(リハビリテーションへの興味・関心が高かった)が担当し、その後、武藤 ― 宮下が監訳する形で作業が進められた。出版社は東京大学本郷キャンパス近くの(株)杏林書院にお願いし、雑誌『体育の科学』の編集も担当していた市村 近氏(現(有)市村出版)が協働してくれた。

 基礎理論編の項目に続いて、臨床応用編では、適応・禁忌、リウマチ疾患、神経系疾患、整形外科疾患、水中での子どもについて、論じられ、水中の現場での写真も多く掲載された実践書としてまとめられている。

 『水泳の医学』『水泳療法の理論と実際』と同列の水泳のスポーツ医学シリーズの一端を担うリハビリテーション医学や理学療法等の教科書的な訳書である。

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