#115『身体活動」からみる子どもの体力 日本型「体力重視」をグローバルに捉え直す』
田中千晶/渡辺哲司
監修
武藤芳照
判型/ページ数
A5判 / 144p
ISBNコード
978-4-524-27373-7
発売日
2025年12月18日
出版社
南江堂

スポーツに限定されない、遊びや日常生活を含む「身体活動」の観点から子どもの健康な発育・発達のために必要な知識をやさしく解説、スマホの普及やコロナ禍を経て生活様式・環境が激変した現在、国際比較研究から日本の子どもの体力を的確に評価する新たな視点を提供する、学校・教育関係者や医療職として子どもと接するすべての人にとって必読の一冊。

第1章 国際比較を通して知る、日本の子どもの身体活動の現状(1):優れた点、長所

第1節 国際比較調査の代表例:AHKGAのGlobal Matrix
 1 .Active Healthy Kids Global AllianceとGlobal Matrix
 2 .各国・地域が作成する“Report Card”
第2節 GM4.0(2022年)が示す日本の現状
 1 .総合的な評価
 2 .体力――主として全身持久力
 3 .活動的な移動手段――徒歩・自転車による通学
第3節 学校制度をベースとしたさまざまな取り組み
 1 .体力・運動能力の測定、運動習慣等の調査
 2 .学校での健康診断・身体計測
 3 .全国共通のカリキュラムと学校施設
 4 .運動部活動
 5 .徒歩・自転車での通学を可能にする、公立学校の配置
コラム(1) スコットランドの公立小学校における食

第2章 国際比較を通して知る、日本の子どもの身体活動の現状(2):問題点、課題

第1節 長いスクリーンタイム
 1. 世界と日本の現状
 2 現在日本の複雑な事情
第2節 家族の支援にあまり恵まれていないこと
第3節 評価できなかった「活動的な遊び」
第4節 身体活動の捉え方が“世界標準” ではないこと
第5節 世界の“グッド・プラクティス”
 1. 他国の状況を見て、知って、学ぶ
 2. 総合的な評価が最高の国
 3. 指標ごとの評価が最高の国と、その理由
コラム(2) 大人の前向きな声掛けが、子どもの有能感を高める

第3章 グローバルな視点から提案する、日本の子どもの体力論・身体活動論

第1節 体力と身体活動
第2節 「体力」重視の歴史的経緯
 1. 日本では今なお不変
 2. かつては他国も体力重視
第3節 世界のトレンドは「身体活動」重視へ
 1. 欧米における変化
 2. 日本はどうふるまうか
第4節 「体力低下」を掘り下げる
 1. 真相は個人差の下方拡大
 2 .「体力低下」言説への疑問
第5節 これからの日本の体力論、身体活動論
コラム(3) AHKGAと日本チームの活動

第4章 現在世界で身体活動といえば

第1節 身体活動の定義と測定法
 1 身体活動とは
 2 日常生活全般の身体活動量をどう測るか
第2節 日本の方法は独特――“世界標準”と異なる
コラム(4) 身体活動量の評価方法

第5章 日本の大人は子どものロールモデルとなっているか

第1節 子どもと保護者の身体活動量には相関関係がある
第2節 成人の身体不活動も世界に蔓延
 1. 懸念される成人の身体不活動
 2. 性・年齢による違い
第3節 生活時間の男女差がとりわけ大きい日本
第4節 保護者も動いて健康に、幸福に
 1. 身体活動は保護者自身の健康と幸福につながる
 2. 生活活動の中には、あれもこれも
 3 知れば、やる気に(筆者らの期待)
コラム(5) 市民の身体活動や交流を支援する街、グラスゴー

第6章 日本国内にある地域差

第1節 通学時の活動的な移動(徒歩・自転車による通学)
 1. 現状に見られる地域差
 2. 経年変化に表れる地域差
第2節 運動部やスポーツクラブへの加入
 1. 現状に見られる地域差
 2. 最近の懸念
第3節 スクリーンタイム
コラム(6)『子どものスポーツ格差』と本書

第7章 障害のある子どもへのアプローチ

第1節 またも世界の専門家が協力――AHKGAによる国際調査
第2節 日本が取り組むべきこと
 1. 運動・スポーツへの参加をさらに促す
 2. 調査体制をいっそう整える
 3. 国の方針は前向き、その実現が課題

付録:「子どもの体力」をめぐる公的文書(政府審議会答申)の記述

第1節 探索の出発点:1961年の文部大臣諮問
第2節 探索の材料:政府審議会答申
 1. 「政府」「審議会」「答申」
 2. 政府審議会と答申の性質
 3. 材料とした審議会答申のリスト
第3節 そこに書かれていたこと
 1. 第1期:1972年
 2. 第2期:1976ー1989年
 3. 第3期:1997ー2008年
 4. 第4期:2012ー2017年
 5. 第5期:2022年
第4節 探索のまとめ
 1. 審議会答申の記述の論点
 2. ネガティブな論調が目立つ
 3. ドメスティックな視点

巻末資料
あとがき
監修に寄せて
索引

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