Dr.ムトーのショート・コラ

 

♯20「老いの学校」


 この5月に行われた長野県東御市にある(公財)身体教育医学研究所の理事会の後の懇談会で、理事の一人の齋藤文護医師市立みまき温泉診療所所長・市民病院地域医療部長、香川県出身)が、在宅診療の豊富な経験から、近年、地域や家庭で、「老いること」(高齢者、人生の終幕、生老病死)へのごく自然な認識・理解が若者・子どもたちに弱くなっているのでは、との見解が述べられた。

 信州の名産の料理や地元のワイン・日本酒などを楽しみつつ、各理事らもそれぞれの経験や最近の話題なども織り交ぜ、活発な意見交換の場となった。まさに「シンポジウム」(古代ギリシア時代、ワインを飲みながら意見を交わしたことから『饗宴』の意味とされる)の様相だった。
それでは折角の良い議論であったから、これを基盤に皆で新たに書籍としてまとめようと、私が提案し、帰京してすぐに企画書を作り上げた。それが『老いの学校~老後を明るく 楽しく たくましく~』(仮題、三恵社刊行)だ。

 現在、東御市の研究所と身体教育医学研究所うんなん(島根県雲南市)、私たちの東京健康リハビリテーション総合研究所の三つの研究所が協働し、そして医学ジャーナリストの飯島裕一氏(元信濃毎日新聞編集委員)にもご支援をいただいて、執筆・編集作業の準備が進められ、2026年9月21日(月・祝<敬老の日>)発刊を目指している。

 やはり対面の会議と真の「シンポジウム」は大切だ。

 


執筆者:武藤芳照
(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長 / 東京大学名誉教授 / 医学博士)
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